やさしい世界はここにあったんだ。『事情を知らない転校生がグイグイくる。』1巻

 

事情を知らない転校生がグイグイくる。(1) (ガンガンコミックスJOKER)

事情を知らない転校生がグイグイくる。(1) (ガンガンコミックスJOKER)

  • 作者:川村拓
  • 出版社:スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2018-10-22

 

やったぜ書籍化。これツイッターで見た時から好きでした。

 

これがバズって連載化、からのコミックス発売です。連載になってどうなるかとも思いましたが、なんともありません。この世界観のまま、なんなら特別なキャラ追加もなく、無邪気でおばかでヒーローな男の子と、死神とクラスから疎まれている少女のあたたかな交流をまるっとたっぷり楽しめる。

これが非常にね、ほっこりする。大変に安らぐ。
やさしい世界って、あるんだなぁ・・・

本当にただただ2人の関係をニヤニヤと眺めているだけの時間が本当に癒やされます。クソみたいな15時間労働かましたあとに読んだりするとふいに涙があふれることだってある。ふだん読む漫画の傾向としてシリアスっぽいのを好みがちなんですけど、ふとこういう邪気のない漫画を読むと、前より増して気持ちがほぐれてくれる。やさしい世界の断片を、きれはしを、残り香を摂取してなんとか生かされていると言ってもいい・・・。

まぁ「邪気が無い」というとヒロインが置かれている環境はどうなのかという所はあるか。でもこの作品って、ヒロインを悲劇的に描きすぎないところがミソだと感じます。暗くなりすぎない。読者を刺激しすぎない。ある意味では都合のいい設定ですけれど、このバランス感覚をある種メタ的に保っているのが、タイトルにも出ているグイグイくる転校生、高田くん。

彼がに周囲も西村さんも翻弄する見事な天然タラシキッズなのが爽快なんですね。

事情を知らない12

こっちもにやけがとまんねぇんだよな。

クラスメイトたちがいろんな言葉やいろんなイタズラでヒロイン西村さんをからかうんですけど、天然かつ根がいいヤツすぎる高田くんがすべてを浄化するので安心して読める。クラスメイトたちの簡単に丸め込まれちゃうお子ちゃまっぷりも、ある程度読み進めると笑えるポイントだったりする。

事情を知らない11

 

これは深読みのしすぎかもしれないけれど、本作はずっとページ縁が黒ベタなんですよね。ちょうど回想シーンみたいな雰囲気がずっと続いていく。

小学校という狭いせまい世界を描いていく作品だからこそ、なんかこの演出が効いてくる。もしかしたらこの物語自体が、未来のだれかが回想したり読み聞かせている『かつての日々』なのかもしれない。そう思うとさらにノスタルジックで、失われた尊さが輝きを帯びていく。

10年後とかに成人式でドチャクソ美人に成長した茜ちゃんが周囲を見返してくんないかな。それで、また引っ越していったはずの高田くんと成人式で再会して始まってくれふたりのストーリー・・・・・・・。恥ずかしがりませんわたくしは。

 

 

まぁさらっとした紹介になりましたけど、さらっと読めてニヤニヤできるいい漫画です。おすすめ。いかにもモブっぽい造形のヒロインがめいっぱいに愛されて幸せにされる物語、絶対に幸せを約束してほしい。

 

 


 

(ついでの話)

最近いろんな所で見かけるツイッター発漫画の単行本化についても少し書いてみる。個人的にはいい傾向だとも思ってるし、一概にいいとも言えないような気もする。

「グイグイくる転校生」とはぜんぜん関係ない話なので適当に流してください。

 

作家さんや雑誌側としても、そもそも知名度ある状態で需要のあるなかで連載をはじめられるのだから大きなメリットだろうな。あと雑誌連載でイマイチ結果を残せなかった悔しい作家さんが、ツイッター漫画でバズってるのを見ると嬉しくなる。ちょっと前に星海社のツイ4がはじまったあたりで「ツイッターで漫画をアップして拡散されよう」というブームがなんとなくできてきたような気がするけれど、高木さんも正直ツイッターでバズりまくった結果の大勝利という部分も強いし、かんぜんに今のブームですよね。普段使ってるSNSツールで、なんかしらんけど面白い漫画がTLに流れてきたぞ、っていう出会いの嬉しさってのが全体的にプラスに働いてるんだろうなーと感じる。自分自身、めっちゃふぁぼる。夜になって見返す。

ただツイッターってその時その瞬間の「あ、いい!」の脊髄反射的なファボやRTが多い気がして、拡散されることで多くの人の目には触れるだろうけれど、作家さんがそれによってメジャーになれるかというのも疑問だったりしますね・・・。

バズる漫画を傾向を見るとやっぱ4頁でまとまってるショートショート的な掌編がおおいのだけれど、それを雑誌で連載化となったときに、物語が動きにくいって所が弱点なのかもしれない。ツイッターで作者アカウントで不定期連載みたいにアップされる漫画のほうが意外と展開が面白かったりして、雑誌連載化する作品だと停滞しがちなような気がする(個人の感想ですが)。

あと個人的にムカつくんですけど、ピクシブとかツイッターでヒットしたタイトルをすぐに書籍化してくるときの一○社とか○川系列のあのおいしいとこだけ持っていこうという感じが。作家的にもせっかくバズった作品が書籍化されて世に出るなら嬉しいことのはずだけれど、「消費されてる感」が絶妙にモニョってしまうんだよなぁ・・・・・・。WEB誌連載ならともかく雑誌でWEB発ネタを雑誌で連載化させて、それでネットから作品を奪っておいて、やってることはWEB時代の焼き直し・・・・・・みたいなクソダサいことになってる作品見ると泣けますよ。編集なにやっとんじゃと。ツイッター漫画を商業化するならツイッターのリンクからワンクリックで読めるような環境でやらないといけない気がするんですけどね。

なんか文句いうのも辛い。こんな時代ですので、漫画のあり方、読まれ方もいろんな選択肢が出てきたってことなので、ズレた考えなのかもしれないですけども。

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投稿者:

1992年生まれの社会人男。漫画・小説・ゲーム・音楽等。 FC2でブログを書いていました 正直どうでもいい http://omuraisu0317.blog56.fc2.com

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